おいしい台所

ほどほど家事で、おいしい暮らしを。きょうも台所にいます。

この世で最後に食べたいものは

この間、会社の自席でお弁当を食べていたら、斜め前で同じようにお弁当を食べていた後輩S君にいきなり聞かれました。

 

「あのさ。この世で最後に何でも食べられるとしたら何が食べたい?」

 

私の隣でパンを齧っていたIさんが言いました。

「品川区の○○にある、ラーメン屋かな。あそこのとんこつ美味いんだよねぇ。」

 

それを聞いてS君。

「俺はね、蒲田の△△の定食屋。あそこの定食、メインのおかずだけじゃなく付け添えも味噌汁もめちゃめちゃ美味いんだよ。ひじきの煮物とか、大根の味噌汁とか最高。死ぬ前に、あそこの定食食いたいなぁ。」

 

 

なるほどー。確かに美味しそう。聞いているととんこつラーメンも定食も食べたくなってきます。

 

・・この世で最後に食べたいものか。

なんだろう?何が食べたいだろう?と考えた末にぽそっと答えました。

 

「・・・自分で握ったおにぎりかな。」

 

「ちょっとさ、そういう哲学的なこと言うのやめてくれる?そういうのいらないんだけど。もっと単純なのでいいんだけど。」と笑うS君。「あーでもわかる。ばーちゃんの作るおにぎりとか最高うまいもん」とIさん。

 

私は別に哲学的になったつもりも、文学的に感情に訴えたかったわけでも何でもなく、ただ頭に浮かんだのがそれだったので口に出してしまったわけですが、何だか恥ずかしくなってしまって黙りこみ、残りのお弁当をひたすら食べ続けたのでした。

 

 

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この世で最後に食べるもの。自分が最後に噛んで味わい自分の体に入れるもの。そう考えたときに、どこそこの高級レストランのステーキだとか、知る人ぞ知る定食屋の生姜焼きだとかはもちろん、母のから揚げとか祖母の焼く鯖とか、懐かしいそんな味も浮かびませんでした。

 

外食で美味しいもの、食べたいものはたくさんあるけれど、いざどれか一つを選べと言われたらどれも同じように感じて選ぶ理由がない。母のからあげや祖母が焼く鯖は食べたいけれど、「私のために作ってくれる」というそのことが、有難みよりも「大変かな」「面倒かな」「まさか美味しく感じなかったらどうしよう」と気になってしまって味わえない気がするのです。

 

自分の手でといだお米で、炊いたご飯で、手塩でにぎったおにぎりを食べる。一番信頼している、一番大好きな自分のおにぎりを「おいしいな」と思いながら食べる。私にはやっぱりそれ以外浮かばないなぁ。何よりごはんが好きだから、最後は大きな大きな大きなおにぎりを握りたい(笑)

 

 

そんなことを、残りのお弁当を食べながら考えていたのですが、それをS君に言ったら「やっぱり哲学的じゃん」なんて言われそうなのでやめました。ここは「駅前の洋食屋のしょうゆ味のスペアリブ」とか言っといたほうが無難かな、と。(笑)

 

 

ああでもあと一つありました。

 

娘が作る大根と油揚げとじゃがいものお味噌汁。

 

これだけは。

おにぎりと一緒に食べたいなぁ(笑)

 

 

 

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