おいしい台所

ほどほど家事で、おいしい暮らしを。きょうも台所にいます。

すごい本を読みました

すごい本を読んでしまった。というのが、読み終えた感想です。こんな本を読んでしまったら、推理ものだろうが泣ける話だろうがホラーだろうが、どんな小説もつまらなく感じてしまう。こんなに感情を揺さぶられる本は、本当に久しぶりに読みました。いや、ここまでの本は初めてかもしれません。




殺人犯はそこにいる: 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件 - 清水 潔

Amazonより-----犯人が野放しになっている? 「桶川ストーカー事件」を手掛けた記者が迫る! 5人の少女が標的になった知られざる大事件。それを追う記者が直面したのは、杜撰な捜査とDNA型鑑定の闇、そして司法による隠蔽だった――。執念の取材で冤罪「足利事件」の菅家さんを釈放へと導き、真犯人を特定するも、警察は動かない。事件は葬られてしまうのか。5年の歳月を費やし、隠された真実を暴きだす衝撃作。-----


この本は、「北関東連続幼女誘拐殺人事件」を追い続け、その中の一つの事件の犯人にされていた受刑者の冤罪を暴き、真犯人を特定するまでの経緯を詳細にまとめたルポルタージュです。そう、書かれていることは全て事実。私自身、その無罪判決をテレビで見た記憶があったので、「ああ、あの事件のことか。冤罪が大きく報道されてたよね」とすぐに思い出せましたが、そのくらいの知識しかありませんでした。ところがこれがすごかった。私たちには「ああ、あの事件ね」で通り過ぎてしまった一つの冤罪の裏には、警察・検察によるずさんすぎる捜査と捏造と隠蔽があり、そのために本当に辛い思いをした遺族と家族の存在があった。そしてこの事件を追った清水さんは、事実を知るために本当に細やかな調査と取材を続け、「一番小さな声を聞け」という自分に課したルールを徹底し、被害者と被害者家族にとことん寄り添った末に、冤罪を暴き真犯人を特定するのです。もう、読んでいて次々と判明する事実に時に緊張し、時に涙し、何より司法というものに恐怖を感じました。

真犯人はどうなったか。清水さんの本文最後の言葉を引用させていただきます。


ールパンよ、お前に遺族のあの慟哭は届いたか。
お前がどこのどいつか、残念だが今はまだ書けない。
だが、お前の存在だけはここに書き残しておくから。
いいか、逃げきれるなどと思うなよ。ー


そう、殺人犯ルパンはそこにいる、のです。まだ。私たちの暮らす日々の中に。



この事実を埋もれさせてはいけないと強く思うし、テレビだろうが新聞だろうが警察だろうが、報道されていることだけがその事件の全てではないのだということ、一人ひとりが情報に踊らされないように自分の目と耳でしっかり「事実」とは何かを見る力をつけていかなければならないと感じます。もし、自分の家族が冤罪で捕まったら。もし自分の子どもが事件の被害者になったら。他人事ではなく、大きな権力の下では誰でも同じことが起こりうるのだということ、そして最終的に頼りになるのは「自分」でしかないのだと、覚悟させられたような気がします。



そもそもこの本を手に取ったのは、さわや書店さんが作ったという書籍のカバーに興味をもったからでした。ルポルタージュなど滅多に買わないので買った後もしばらく本棚にあったのですが、読み終えた今このカバーに書かれているのと同じように、一人でも多くの方に読んでほしいと心から思います。



微力でも、ブログで紹介することで一人でも多くの人がこの事件や司法や報道について考えるきっかけになることを願って。



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