おいしい台所

ほどほど家事で、おいしい暮らしを。きょうも台所にいます。

義父のたくあんと あの日のこと

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毎年、2月になると

「漬けたよ。取りにおいで」と

義母から連絡があります。

義父の、たくあんです。

 

夫が物ごころついた時には

既に漬けていたというから、

多分もう40年位、毎年毎年

義父が漬けるたくあん。

 

 

これが本当に美味しくて、

今ではスーパーなどで

買ったものを食べる気になれない程。

 

しょっぱくて、甘くて、音も小気味よく

これだけでごはんが進みます。

 

 

 

初めて義父のたくあんを食べたのは

父の葬儀の時でした。

 

 

私の父は、私が結婚してから

2か月後に亡くなりました。

その葬儀の日、義父がたくさんの

たくあんを持ってきてくれたのです。

 

 

身内が亡くなると、次から次へと

人が来るし、やることも決めることも

いっぱいあるので、葬儀の間は悲しんで

いられなくなります。

 

 

誰もが慌ただしく動いていて、

ゆっくり泣くどころか、気持ちを

落ち着かせる暇もありません。

 

 

 

 

そしてそんな中、

家の真ん中に、このたくあんがありました。

 

 

 

 

動く傍ら食べたおにぎりの横に。

 

弔問にいらした方のお茶うけに。

 

休憩しようと座った、

リビングのテーブルの真ん中に。

 

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椅子に座った誰もが、

しんみりしながらもぼそりと

 

「美味しいね、これ」

 

と言っていたのをよく覚えています。

 

 

 

 

 

あの日義父が、

 

「こういう時っていうのは、みんなで集まって

わっと騒いで忙しくしちゃったほうがいいんだ。

そうやって時間が過ぎるのを待つしか

ねんだから。」

 

そう言った言葉が忘れられません。

 

 

 

悲しいものは仕方ない。

悲しいのは時間しか解決してくれない。

その時間はみんなでどうにかこうにか

ごまかして、紛らして、埋めていくしかない。

 

 

 

あの慌ただしい数日間は、

自分を平静に取り戻す時間であったなと

つくづく思います。

 

 

 

あの日真ん中にあったたくあんは

ひとつ残らずなくなりました。

 

 

 

 

あれから12年。

義父のたくあんは今も健在。

 

 

うちのダイニングで、美味しい音を

ひびかせています。

 

 

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今年もありがたく、

 

 

いただきます。

 

 

 

 

 

 

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