おいしい台所

ほどほど家事で、おいしい暮らしを。きょうも台所にいます。

45歳の分岐点~れんげ荘

れんげ荘 (ハルキ文庫 む 2-3)

れんげ荘 群ようこ

 

-----Amazonより--------------------

月十万円で、心穏やかに楽しく暮らそう!

―――キョウコは、お愛想と夜更かしの日々から解放されるため、有名広告代理店を四十五歳で早期退職し、都内のふるい安アパート「れんげ荘」に引っ越した。そこには、六十歳すぎのおしゃれなクマガイさん、職業“旅人"という外国人好きのコナツさん・・・・・・と個性豊かな人々が暮らしていた。不便さと闘いながら、鳥の声や草の匂いを知り、丁寧に入れたお茶を飲む贅沢さを知る。ささやかな幸せを求める女性を描く長編小説。

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私は結婚して子どもも居ますが

結婚する結構ギリギリ前まで

生涯独身もありかもなと思っていました。

 

 

仕事は面白かったし、一人暮らしもして

自分で食べていける自信もあったから

「仕事があって友達がいれば、結婚しない

道も全然有り」と普通に思っていました。

 

 

だから、この主人公キョウコの生き方に

すごく共感するし、もし自分がまだ独身

だったら、キョウコのようにこの先の

人生を決める分岐点に、今あったんじゃ

ないかなと思います。

 

 

若い子がどんどん入社してきて、

自分が入社した頃一線だった先輩が

窓際に追いやられ、

自分は体力的にも精神的にも

昔と同じように働くことがしんどくなって

先に不安を覚えることも時々ある。

 

このまま定年まで粘るのか、

そもそも粘れるのか。

それとも違う道を進んでみるか。

 

40歳を過ぎて、つまり会社生活を

折り返したところで、「あれ、これで

大丈夫かな」とふと立ち止まって

考えるようになるのだと思います。

 

そして多分そこは、「会社で

頑張ってみようかな」とふんばろうと

決められる最後の分岐点なんですよね。

 

 

 

結婚しなかったら、私にもこんな道が

あったかもしれないなぁと思う。

 

 

 

私の父はまさにキョウコのお父さん

のように、ローンを払い終えてから

病気になって亡くなりました。

 

 

病気になってからの口癖は

「まだまだ、俺はこれからいっぱい

遊ぶんだ。これからなんだ。」

 

 

父のその言葉は、私が仕事と生活の

バランスを考える上で、

「仕事のために、生活を犠牲にしちゃ

いけない」という基本中の基本を

教えてくれたと思います。

 

 

だから結婚していなかったら

もしかしたらキョウコのように

「暮らす」こと「生きる」ことを思い出すために

キョウコのような生活を選んだかも

しれないなぁと思うのです。

 

 

 

そして、今私には家族がいて

キョウコのように突然に全てを

変えることは出来ないけれど

 

 

いつか「暮らす」ことを大切にするために

会社を辞めるかもしれないなぁと思うのです。

 

 

例えば、平日の電車の静かさだったり

公園に居る人の姿だったり

商店街の様子だったり

家族との時間だったり

季節を肌で感じることだったり

 

本当に些細なことなんだけれど

そんな些細なことを直に見て、感じて

大切にするために。

 

 

 

キョウコが悪戦苦闘しながら

古いれんげ荘で懸命に暮らす様子は

不格好だけれどちょっと羨ましい。

 

 

きっとキョウコはれんげ荘で暮らしながら

色々なものを削ぎ落とし、最後に

残る大切なものに気付いていくんでしょうね。

 

 

 

淡々と穏やかに進む物語の所々に

大切なものが隠されている気がします。

 

 

機会があったら是非

読んでみてくださいね。

 

 

 

 

れんげ荘 (ハルキ文庫 む 2-3)

 

 

 

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