おいしい台所

ほどほど家事で、おいしい暮らしを。きょうも台所にいます。

「かーちゃん」じゃなくなる日

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うちの子ども達は、私のことを「かーちゃん」と呼びます。言葉がしゃべれるようになった時から、ずっと「かーちゃん」です。

 
私自身は両親のことを「お父さん、お母さん」と呼んでいました。だから子ども達にもそう呼ばせるつもりでいましたが、夫が自分を「とーちゃん」と呼ばせるのに従って、なんとなく私は「かーちゃん」になりました。
 
 
「かーちゃん」という呼び方は、慣れないうちはだいぶ違和感があったのですが、子ども達に「かーちゃん、かーちゃん」と呼ばれているうちに、自分にとってこれ以外ないなと思うくらい、親しみを感じる、大好きな呼び方になりました。
 
時々、仕事帰りに学童から帰ってきた子ども達と会うことがあるのですが、ランドセルを揺らして満面の笑みで「かぁちゃーーん!!」と呼びながら駆けてくる姿には、これ以上ない幸せを感じます。どこで誰といても、「かーちゃん」と呼ばれるのは全く恥ずかしくないし、このままでいいと思っていました。
 
 
でも、先日のこと。夕飯の支度をしていたら、娘がいきなり言いました。
「もうちょっとしたら、『お母さん』って呼ぼうと思う。」
 
 
そうかー。
 
そうだよね、私がいくらこのままでいいと思っても、呼ぶほうの娘にとっては恥ずかしくなってきたんだね。確かに周囲のお友達は「お母さん」か「ママ」。かーちゃんと呼ぶ子は特に女の子では聞きません。
 
私が「わかったよ。好きなように呼べばいいよ」と言うと、「ねぇ、お母さん」とか「おかあさーん」とか、にこにこしながら練習しはじめました。その度「なぁに」とか「はーい」とか普通に返事をしましたが、呼ばれる私のほうはだいぶ淋しい感じがしていました。
 
 
たかが呼び方。もともと「お母さん」と呼ばれている人が大半だと思うし、現に私もそうだったし、だから気にするのもおかしいのですが、この「ちゃん」と「さん」の間には大きな隔たりがある気がしてしまいます。
 
 
例えてみれば、会社の上司に昨日まで「鈴木ちゃーん」と呼ばれていたのに、いきなり今日になって「鈴木さん」と呼ばれるようになって「あれ、なんかセクハラとか気にしてる?ちょっと課長変な気ー遣わないでよ」と思っちゃうような。
それまで「鈴木!」と呼び捨てされていたサークルの先輩から「鈴木さん」と呼ばれるようになって「女子みんなに『さん』づけするなんて、先輩の彼女やきもち焼きなのね」と気の毒に思っちゃうような。
 
・・とにかくなんというかいきなり壁を作られたような感じがしてしまったのです。
 
 
調度娘が10歳になって、女の子らしくなってきて、自分の世界もそろそろ持ちはじめるんだなと思っていた矢先だったからかもしれません。
 
別に呼び方なんてどうでもいいよ、と言いながら、心の中では「かーちゃんでいいのにな。淋しいなぁ」と思っていました。
 
 
とは言いつつ、やはり小さい頃からの呼び方をそうそう変えられるものでもないようで、気づけば「かーちゃん」「かーちゃん」と呼ぶ娘。それでも中学生や高校生になったら自然に「お母さん」と呼ぶようになるのかもしれません。考えてみれば、20歳も25歳も超えた女性が母親のことを「かーちゃん」と呼ぶ姿はちょっと想像出来ない。少しずつ自立していけば、それが自然な形なのでしょうね。
 
 
「かーちゃん」じゃなくなる日がいつか来るのか。淋しいなぁ。
 
そんなふうにしんみり考えた夜でした。
 
 
 
 

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