日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ
森下典子
Amazonより------------------------------------------------------
お茶を習い始めて二十五年。就職につまずき、いつも不安で自分の居場所を探し続けた日々。失恋、父の死という悲しみのなかで、気がつけば、そばに「お茶」があった。がんじがらめの決まりごとの向こうに、やがて見えてきた自由。「ここにいるだけでよい」という心の安息。雨が匂う、雨の一粒一粒が聴こえる……季節を五感で味わう歓びとともに、「いま、生きている! 」その感動を鮮やかに綴る。
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少し前に、コメント欄でぐりさんから教えていただいた本です。ブログを読んでくださり、私の記事から「元気に楽しんでいただきたい」とおススメしてくださった本で、嬉しくってコメントをいただいた後すぐに本屋さんで探して買ってきました。
「お茶」というと私が覚えているのは高校の時の茶道部で、お菓子を目当てにした男子が数名入っていたなーということ。あとは近所に教室があるのを看板で見たな、ということ。その教室も看板をさっと眺めただけで足を踏み入れたことはもちろんないし、つまり私にとって「お茶」の世界は自分には縁のない、興味もない、多分この先も知ることのない世界だと思っていました。
でもこの本を読んで、ものすごくお茶に興味がわきました。何故もっと若いうちから興味を持ってやってみなかったんだろうと後悔した程です。
著者の森下さんは、何かひとつ、具体的にやりとおしてみたいとその時たまたま母親にすすめられた「お茶」をはじめます。お茶の世界はとにかく「型」を覚えること。どうしてその「型」でなければならないか、その「型」にどんな意味があるのか知りたいのに、先生は「まずは型を覚えなさい」と教えてくれない。
そしてその「型」は何年繰り返しても「何故こんなことをするのか」さっぱりわからない。でも、何年も何年も何年も繰り返し教室に通い続けるうちに自分の内面の成長と共に、それまでわからなかったことが一つ、また一つとわかるようになってきます。
最後、雨音を聴きながら「人間は『この一瞬』に没頭できた時に、さえぎるもののない自由の中にいる」と気付いたところでは、まるで自分もそれに気付かされたような気持になって感動してしまいました。
私は少し前まで数年間ヨガ教室に通っていたのですが、ヨガを通して同じような気持ちになったことがあります。ヨガも一つ一つのポーズが自分の体にどんな効果をもたらすものか、そのポーズにどんな意味があるのか全然わかりません。ひたすら先生と同じポーズをするだけです。でも、一つのポーズをとることだけに集中出来たとき、ものすごい解放感に包まれた感じになります。あまりの気持ち良さにずっとそのポーズを続けていたくなるほどです。
人間は、何か一つのことに、余計な意識を取り除いて没頭したとき、自分と宇宙がつながったような気になるのかもしれません。いや、もしかしたら本当につながってしまうのかもしれない。そしてつながったその時、「自分はすべて持っている。自分は自由なんだ」と理解出来るのかもしれない。そしてそう思えたときの自分は、何よりも強い気がします。
そう思ったら、お茶という世界が素晴らしいものに思えました。そして例えばヨガでも、座禅でも、とにかく自分と向き合う時間を作りたくなりました。
誰でも自由を持っている。いくつになっても、どんな状況にあっても。
そのことに気付けただけでも、この本を読んでよかった。
手元に置いて何度も読み返したくなる本です。
是非読んでみてくださいね。
そして素敵な本を紹介してくれたぐりさん、どうもありがとう。
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