おいしい台所

ほどほど家事で、おいしい暮らしを。きょうも台所にいます。

たい焼きを食べながら

土曜日の午後、おやつにたい焼きを食べました。

 

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よく行くスーパーの店先に、最近屋台のたい焼き屋さんがお店を出すようになりました。少し前に娘が食べたいと言っていたのを思い出し、土曜日のお昼に買い物をした後で、小倉とクリームの2種類を買って帰ったのでした。

 

  

私には大好きなたい焼きがあります。それは、東京は江東区の森下にある「浪花屋」さんのたい焼きです。

 

私の父は亡くなるまで森下にある小さな会社に勤めていましたが、その父が仕事帰りに時々この浪花屋さんのたい焼きを買ってきてくれました。毎回父が持つ紙袋には10匹程のたい焼きが入っていて、「はい、おみやげ」と渡された母がとても喜んでいたのを覚えています。父の帰りはいつも21時頃でしたが、袋の中のたい焼きは冷めていてもいつも美味しかった。

 

浪花屋のたいやきは皮に特徴があって、すごく薄いんです。皮の周囲はパリパリなのですが、頭としっぽのあたりの皮を噛みしめると、もっちり。子どもの頃、たい焼きといえばスーパーのフードコートにあるホットケーキのような生地に餡が詰まったものしか食べたことがなかったので、甘くなく、さっぱりとして、パリパリでもっちりのこの皮を食べたときは衝撃でした。家族みんなこのたい焼きが大好きで、10匹のたい焼きもあっという間になくなりました。

 

父はたい焼きだけでなく、営業の合間に人形町の初音のあんみつや、人形焼を買ってきてくれることもありました。どれも今でも有名どころのお菓子ですが、その当時はそんなことも知らず、美味しい美味しいと父と一緒によく食べました。

 

 

父が亡くなった後、母と兄と夫と私で父の職場に挨拶に行った時に、「浪花屋のたい焼きを買って帰ろう」ということになりました。お店に行った母は、袋いっぱいのたい焼きを買って車に戻ってきました。帰りの車の中でたい焼きを食べ、「やっぱり美味しいね。ここのたい焼きが一番だよね」なんて会話を交わしながら、ふと、たい焼きの袋を見ると、袋の中にはいつまでも減らないたい焼きが数匹程残っていました。

 

(お母さん、もう子どもじゃないんだから買い過ぎだよ。こんなに食べられないよ。)と思いながら、残ったたい焼きを見ていたら切なくって涙がこみあげて仕方なかったです。

 

 

美味しいものを食べたとき。美味しいものを見つけたとき。大切な人にわけてあげたいという気持を込めたおみやげは、必ず相手に伝わります。父のように、そんな買い方が出来る人になりたいなと思います。

 

 

スーパーのたい焼きは浪花屋さんのではなかったけれど、おやつ時にはすっかり冷めていたけれど、子ども達と一緒に食べる時間は何より楽しかったです。

 

 

 

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