おいしい台所

ほどほど家事で、おいしい暮らしを。きょうも台所にいます。

生きるぼくら~大切な一粒のお米

 


「生きるぼくら」 原田マハ

 Amazonより----------

こんなうまい米、はじめてだ!驚いた引きこもりは、病気のばあちゃんのため米づくりへ一直線。それは自分を取り戻す旅だった。
いじめを受け、ひきこもりだった麻生人生。蓼科でひとりぐらしを続ける人生の祖母、中村真麻。対人恐怖症の中村つぼみ。田んぼから三人は前をむいて歩み始めた―。収穫のとき、それぞれの心に温もりが実る。山本周五郎賞作家が描く感動の成長小説。

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物語は、高校の時にいじめを受けたことからひきこもりになった主人公の麻生人生が、優しく接してくれていた母親にも見捨てられ、「これからどうやって生きていくんだ」と頭を抱えるところから始まります。祖母が住む蓼科を訪れ、そこに住む人たちの温かさにふれ、自分は祖母に何が出来るだろうと考えて、祖母がこだわって守り続けた米づくりを、認知症になってしまった祖母のかわりにはじめます。そしてそこから、閉じこもっていた殻を少しずつ破り、自分を取り戻していきます。

 
いじめの場面も残酷だし、ひきこもって母親にあたるところも見ていて辛いし、救いを求めて旅立った先の祖母は認知症だし、それ以外の登場人物も何かしらの問題を抱えている。登場人物はみんな不完全な大人たちです。それでもそんな大人同士のぶつかり合いを読んで爽やかな気持ちになるのは、原田マハさんが人物や風景や心をまっすぐに描写しているからなんだろうなと思います。

 

話の中で、おばあちゃんが作るおにぎりがよく出て来るのですが、これがもう美味しそうで美味しそうで(笑)

 

本文より----------

「そのおにぎり、おかしなかたちだけど。私ね、ひとつだけ、握ったの。あなたに、食べてもらいたくて」

ばあちゃんはそう言って、いたずらっ子のように瞳を輝かせ、そっと微笑んだ。

人生は、手の中のおにぎりをを眺めた。ちょっと歪んで、ちんちくりんなかたちのおにぎりを。

おにぎりが、どうしておいしいか知ってる?

それはね、人の手で握るからなのよ。

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米づくりについて詳しくは知らなかったのですが、こんなにも苦労した末に出来るものなのだと知って、一粒のお米も無駄にしてはいけないなと思いました。

  


話は去年にさかのぼるのですが、去年、娘の夏休みの観察日記は稲を育てることでした。上にきょうだいの居る他のお母さん達が、どうも稲は毎年全然収穫出来ておらず、持ち帰るのは重いし、見て面白いものでもないし、収穫も出来ないし、もう止めればいいのに・・と言っているのを聞きました。確かにそうよね、と思いながら夏場にお水をあげたりしていましたが、この本を読んで、お米がどうやって出来て、どうやって自分達の口に入るのかを知ることは、アサガオホウセンカを育てるよりもずっと自分のためになるなと思いました。

 

 

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娘のお米はというと、収穫出来たのはほんの10粒程度(笑)

 

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穂がついているなと思っても、残りは中身が空でした。去年、その10粒のもみ殻だけを取り、精米したスーパーのお米に混ぜて炊いたのがこれです。

 

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 真ん中の茶色い一粒、わかりますか?


息子が「なんかゴミが混じってる!」と言って取り出そうとするのを慌てて説明し、みんなで2粒くらいずつ食べました。美味しいかどうかなんてもちろん全然わからなかったですが、育てたものをきちんと体に入れるというその行為は、とても正しいことに思えて、なんか良かったです。 

 

この本を読んで、大切に食べてよかったとあらためて思いました。

 

 


読後感がとても爽やかで、温かい気持ちになれます。

そして、お米が食べたくなります(笑)

 


是非、読んでみてくださいね。

 

 

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