先日、面白い本を読みました。
「かぼちゃを塩で煮る」牧野伊三夫
Amazonより---------------------
明けても暮れても、気がつけば食べることばかりを考え生きている"食いしん坊"画家は、何をどう好み如何に食べてきたか。いわしの酢じめ、砂肝パクチー、チンジャオロースの作り方から、野菜の干し方、炭火の使い方、まずいまぐろのおいしい食べ方まで。文章と画で構成する、この上なく美味な一冊。-------------------------
画家である牧野伊三夫さんが、自分の食まわりのことについて絵と文で書かれた本です。三度のご飯と、散歩と、お風呂。たったこれだけのことについて、どこで何をどのように作って食べたか、どんなふうに酒を飲んだか、本当に楽しそうに美味しそうに書かれています。タイトルである「かぼちゃを塩で煮る」についても、かぼちゃの煮物を敬遠していたけれど、ある日レジのおばさんに「塩だけで煮てごらんなさい。おいしいわよ」と言われて試してみたら実に美味しかった、というそれだけの話。なのに、煮る時の描写がまるで目に見えてくるようで、どころかおいしい匂いまでしてくるようで、最初から最後まで「それだけの話」なのですが、楽しくてどんどん読み進めてしまいました。
中でも好きだったのが、「ビジネスホテルでの調理研究」。旅先でのホテルの朝食ビュッフェを味気なく思い、地の物を買ってきて簡単に調理したり、部屋にある電磁湯沸かし器を使って温めたりしながら奥様と調理研究(?)する様子は本当に楽しく、でも最後に大量の食材のビニール袋を見て我に返るところとか、ほほえましく可愛いく何だかいいなぁと思いました。
最初にこの本に惹かれたのは、冒頭にある牧野さんの台所の写真です。飾り気のない、使い込まれた、でも無駄のない清潔な台所。茶色いアルマイトの鍋とやかん。ドンピシャで私が好きな台所でした。そして読み進めていくうち、内容もそうですが、絵と文字も温かくて大好きになりました。それにしても、どうして「それだけの話」にこんなに惹かれるのか。その答えは、最後の稲垣えみ子さんの解説にありました。ちょっと引用しますね。
「読んでいると心にぽっと灯がともる。希望が湧いてくる。それは、全力で人生を味わい尽くそうとする牧野さんの心持ちなのだ。~中略~我々のほぼ全員は日々を実におろそかに生きているのである。これをやったら儲かるとか、得するとか、効率がいいとか、かっこいいとか悪いとか、人に見られているとかいないとか、無駄だとか、損するとか、そんなことばかり考えているのである。つまりは人生の時間を「役に立つ時間」と「役に立たない時間」に分けて、効率よく幸せを手に入れたいと考えているのである。~中略~我々は、自分の貴重な人生の時間を自ら差別しているのだ。腐らせているのだ。今ここにある時間をおろそかにして、まだ見ぬこれからの素敵な時間を夢見ている。そうこうするうちに、おろそかな時間ばかりがどんどん積みあがっていく。そうしておいて、ああなぜ私はいつまでも幸せになれないのかと嘆いているのである。」
~文庫解説 「牧野さんのこと」稲垣えみ子 より~
人生は「それだけの話」をどこまで楽しむことが出来るかにかかっているんじゃないかと思う。そして楽しいか楽しくないかは、結局は自分で決めるもの。
まずは牧野さんの真似をして、バナナフランベでも作ってみようか。それとも朝の散歩から始めようか。考えたらわくわくしてきました。
そうそう。
牧野さんが「断食の効能」と「散歩と献立会議」で書かれていたにんじんジュースを私も習慣にしたいなと思い、この週末に飲みました。
その日がおいしい一日になるように。一日の始まりに、体に良いものを入れるのは、とても気持ちが良いです。
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