「ラクする台所」一田憲子--------------------
毎日の料理作りがスムーズになるように、さまざまな工夫を凝らしている方々の台所を取材。台所づくりのヒントが見つかります。(紀伊國屋書店さんHPより)--------------------
菜箸ひとつも全て片付けられた何もない台所よりも、使うものは出しっぱなし、ストレスなくすっと取り出すことが出来るような台所がいい。
ぴかぴかに磨いて片付けられたやかんよりも、ガス台に置かれて油はねがあるけれど、常にガス台の上でスタンバっているやかんの眺めが好き。
お菓子も、お茶も、調味料も、最低限しか持たない、余らせないのも大切だけれど、缶からのぞくクッキーの箱や、たまに飲みたいハーブティーや、海外のお塩や中華の調味料が、こちゃこちゃと並べられた様子にはわくわくする。
私が好きな台所の風景を思ったとき、昭和の昔の、雑然とした台所が思い浮かぶのは何故だろうなとずっと思っていました。モノは少ないほうがいし、きれいに片付けられた部屋がいいのに、台所だけは何故か違う。その理由が、この本でわかったような気がします。
一田憲子さんは言います。
----------ものひとつ出ていないシンプルなキッチンはきれいだけれど、
毎日使うものは、すぐ取れる場所に出しっぱなしがいいなあ。
生活感満載でも、多少ごちゃついていても、
そこに並んでいる調理道具を眺めているだけで、
グツグツと煮物の音がしてくる・・・。
そんな毎日のご飯づくりに寄り添っている台所は
生き生きと輝いて見えるのだと思います。----------
そう、そうなんだ。私が好きなのは、「動いている台所」なんだ。そこでごはんを作る人が居る。そのことを、誰も居ない台所から感じ取ることが出来る。その人が家族のために、自分のために一生懸命ご飯を作る様子までも見えてくるような、作る人としっかりタッグを組んでいる台所。そんな台所が好きなのだとあらためて思ったのです。
この本には、一田憲子さんが取材をした8人と一田さんご本人の台所とそこでの様子が、素敵な写真とともに紹介されています。料理の写真も出てきますが、どれもこれも飾らない「普段の料理」。おしゃれな雑貨や道具などは出てきませんが、皆さん本当に素敵に台所に立っていらっしゃいます。そして皆さん、肩の力を抜いてごはんを作る様子が、本当に楽しそう。
私がこの本の中で一番好きだなと思ったのは、やっぱり一田さんの台所でした。たくさんの道具が出ていますが、無駄がなく、どれも一田さんが調理してくれるのを整然と待っている、温かさを感じる台所です。こんな台所を作りたい。見た目だけ真似するのではなく、たくさん台所で料理をして、過ごして、こんなふうに道具たちが寄り添ってくれるように。時間をかけて素敵な台所を作りたいなと思いました。
最後の一田さんの言葉、胸に響きました。
----------キッチンの役割は、やっぱり家族の食事を支え、命を支えること。だから、そこさえ外さなければ、かっこよくなくても、片付いていなくても、何をしたっていい・・と思うようになりました。いいことがあった日も、ちょっと困ったことが起こった日も、希望で輝いている日も、失敗でどん底にいる日も、野菜を刻む音が響き、煮物の匂いがふんわり流れてくる・・・そんなキッチンがあれば、きっと大丈夫。そんなに頑張らなくても、そこそこおいしいものができたらそれでいい。私も、そんなおおらかで懐の深い「ラクする台所」を、作っていければいいなと思います。----------
台所、やっぱり大好きです。
これからも、家族と自分を支えるごはんを、わたしの台所とともに作っていきたいなと思います。さて明日の朝ごはんは、何にしようかな。
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