小さい頃よく遊んだ空地の周りは田んぼだらけで、子どもたちは春夏秋冬いつでもそこに集まって遊んでいました。田植えを終えてから稲刈りまで、私たちは田んぼの匂いに囲まれて育ちました。カエルやトンボやアメンボ、ザリガニ、イナゴ等々、田んぼの周りに集まる生き物はとても身近な存在で、追いかけたり捕まえたりと、遊びの仲間でもありました。
今私が住むところはとても自然が多いところですが、田んぼはたまにしか見かけません。子ども達はおたまじゃくしをカエルになるまで育てたことがないし、トンボをつかまえたこともない。昔と今の環境も違うし、そもそも住んでいる場所が違うのだから仕方ないけれど、自分にとって楽しかったそんな経験をするのとしないのは、その人の後々にどういうふうに影響するのかなと時々思います。
先日実家に帰った時、コンビニに歩いて行く途中で田んぼを通りがかり、なんとなく座り込んで下を眺めていたら、あまりの懐かしさに動けなくなってしまいました。そう、これこれ。水の温まった匂い。稲が風に揺られた時の匂い。この田んぼの匂いに囲まれて、私は育ったのだなぁと。
私の実家は引越しをしたので、今は私が生まれ育ったところとは別の場所にあります。駅からバスでも30分くらいかかるとても不便なところで、私が育った場所以上に自然がたくさんあります。
周囲は田んぼや畑だらけ。実家に帰るたびに車の中から田んぼを眺め、「田んぼに水が入った」「あ、田植えが始まった」「稲が黄色くなってきたね」「稲刈り終わったんだね」「あそこで野焼きしてるよ」と田んぼについてコメントする私に、いつだか夫が「田んぼで季節を感じることは、俺はないなぁ」と言ったのでびっくりしました。そりゃ、みんなが田んぼで季節を感じるわけではないですよね。そういえば今の時期、夕方~夜になると、田んぼの周りはカエルの大合唱で、「グワッ、グワッ」とすごい声で鳴くので子どもたちも驚いていたっけ。
じっと田んぼを眺めていたら、なんだかセカセカと急いで生活するのがバカらしくなってきました。
こうやってのんびり田んぼを眺めているだけでいいじゃないか、それ以上何を望むんだろうと、そんな気さえしてきました。
いつもは立ち止まることもない道に立ち止まって、じーっと眺めていたら、小さな生き物が居ることに気付きました。
いるのわかるかなぁ。真ん中、丸い体にシッポがぴょろり。これから足が生えてくるね。
こっちはわかるよね。写真を撮った後、お尻からひゅるっと隠れちゃった。
生き物たちは敏感で、水の中にいるのにそーっとしゃがんで眺めようとしてもぴゅんっとすぐに逃げちゃう。
小さい頃は彼らと同じ目線で同じ時間の流れの中に居たから、たくさん会えたし、一緒に遊べたのかもしれないね。
帰り道、雨降りアサガオを見つけました。
抜いたら、雨になるからね。
セカセカするのは、先の自分のため。今のんびりしたかったら、今の自分のために、のんびりしてもいいんじゃない。
ほんのひと時、田んぼを眺めた時間は、今の私をちょっとだけリセットしてくれました。
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